『ヤモリの指』 ― 2007年04月21日 09時06分53秒

副題:生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー
原書名:THE GECKO'S FOOT Bio-inspiration - Engineered from Nature
著者:Peter Forbes 訳者:吉田三知世
著者のいう“バイオインスピレーション”とは、自然現象のメカニズムを解明して実用化する技術分野。
日本では同じ意味の新技術を“バイオ・ミメティクス(Biomimetics)”と呼ぶのが一般的らしいが、それでは独創性なしに単に自然を模倣するという意が強い。
天井などを自在に動き回るヤモリの指はどうなっているのか?、泥池の中からドロにまみれることなく綺麗な姿を現すハスの秘密は?、昆虫の羽ばたいて飛ぶメカニズムは? などなど、かなり読み応えのある化学評論。
まるで理解できないところもありました。
ヤモリについては、指の先端に沢山の毛が密集して立っていて、その毛の先端が枝毛のように細かい毛に分かれていて、またその先端がスプーンのようにやや大きく広がったスパチュラ構造(100nm)になっている。これらのスパチュラが相手方の面と接触する。すなわちヤモリはこのような接触点を約10億個持っていて、どこにでも付くことが出来るということである。
この応用から、究極の接着テープがホントに出来るかもしれない。
実は、例のマジックテープも植物の刺のある種からヒントが得られたらしい。
ハスの葉も表面に粗い凸凹構造があり、それにより水滴を弾き、汚れも一緒に洗い流すということだ。
仏教を貫く精神的な純粋さを追求するという姿勢はこの穢れなきハスを手本としていることだが、もしそうであれば、人類は昔から自然に学んできた訳だし、これからも単に技術だけではなく精神も自然からもっと学ぶべきなのであろう。
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